太陽光パネルの事故や故障、不具合を事例で紹介!その原因と対処法
太陽光発電は最も普及している再生可能エネルギーの1つです。その規模は住宅の屋根に設置している例から、大規模なメガソーラーの例までさまざまです。太陽光発電は太陽光パネルを通じて日光を取り込むことで発電するシステムです。その発電の要である太陽光パネルに故障や不具合が起こる場合があります。
ここでは故障や不具合の実例を挙げ、その原因と対処法をまとめました。
太陽光パネルの故障・不具合の事例1-ガラスの傷・割れ
太陽光パネルの表面の材質は自動車などに使われている強化ガラスのため、簡単に割れることはありません。しかし、粉々に割れることはなくてもガラスである以上亀裂が入ったり傷つくことがあります。主な原因は石がぶつかることです。人による投石や自動車が踏んで跳ねた石が当たるほか、カラスが上空から石を落とすことでも発生します。その他突風などでパネルが飛散して割れる場合や、製造工程でついた僅かな傷が原因で割れる場合があります。
対処法としては太陽光発電の周りの石を除去することです。製造工程での僅かな傷については出荷前後の検査でも見つけることが難しく事前の対処はできませんが、目視できる段階になったら早急に修理することで被害を最小限に抑えられます。そして万が一割れを発見したらすぐに修理を依頼しましょう。そのままにしておくと火災発生の原因になります。
太陽光パネルの故障・不具合の事例2-モジュールの変色や濁り
モジュールが白く濁るなどの変色が起きることがあります。変色の部分がたとえ一部分だとしても、全体の発電量の減少につながります。モジュール内に水分が入ることが原因です。製造メーカーはモジュール内に水分が入り込まないように設計し製造しています。また施工時も破損がないように細心の注意を払って設置しています。しかし雨水がいくら入らなくても、大気が多湿の場合、モジュール内へ水分が入ることがあります。
定期的な点検により早期発見してすぐに修理することが被害を抑えることにつながるでしょう。
太陽光パネルの故障・不具合の事例3-モジュールの焦げ
3つ目の故障・不具合の実例はモジュールの焦げです。原因の1つは、製造工程でモジュール内部のハンダ付けが甘く、ハンダが剥がれた部分が異常発熱して起こります。また、太陽光パネルのガラスが割れたり、ヒビが入ったりした場合に、一部の電極に負荷がかかり異常発熱が起こることも原因です。
モジュールに焦げを見つけたら業者に修理を依頼し早急に対処しましょう。
太陽光パネルの故障・不具合の事例4-スネイルトレイル
スネイルトレイルとは、太陽電池セル上にカタツムリがはって歩いたような黒色や白色の線状の模様ができる現象です。(※1)線状に模様が見えるのはセルに亀裂が入っているからです。マイクロクラックという目では見えにくい傷や、モジュール内への水分の侵入などが原因で起こります。
スネイルトレイルが発生しても、すぐに発電量が大幅に落ちることはありません。しかし、定期的な点検を行い、発電量が明らかに減少している場合には専門業者に修理を依頼しましょう。
太陽光パネルの故障・不具合の事例5-落雷による損傷
太陽光パネルに雷が落ちて損傷することがあります。落雷による被害には「直撃雷」と「誘導雷」による2通りがあります。直撃雷は直接設備に雷が落ちて起きる被害のことです。一方、誘導雷は周辺に落ちた雷が原因で被害を受けることです。誘導雷では太陽光パネルに被害がないとされています。
落雷は通常低いものには落ちにくいのですが、敷地が広く周りに高いものがなければ太陽光パネルに落ちる恐れは十分に考えられます。パネルにはアースが付いているため、被害は最小限に抑えられますが、万が一故障した場合は修理が必要になります。
太陽光パネルの故障・不具合の事例6-汚れ
太陽光パネルに汚れが付着すると、太陽光が遮断され発電量が低下します。落ち葉や鳥の糞、PM2.5などが原因です。基本は雨が洗い流してくれますが、長期間雨が降らず汚れが落ちなかった場合には発電量が低下する可能性があります。また汚れが原因で太陽光パネルの火災なども起こる可能性があります。
対処法としては、定期的に清掃することです。また、表面に汚れがつきにくいパネルを選ぶことでも対処可能です。
太陽光パネルの故障・不具合の事例7-ホットスポット
ホットスポットとは、不良箇所や影などで発電できない部分が抵抗を持ち発熱することです。製造工程か施工段階で製品に不良部分があり、内部に水分が入った場合や、パネル表面に落ち葉などが付着し長期間影ができた場合などに起こります。大幅な発電量の低下が起きたり、モジュールの火災などに発展することもあります。
対処方法は定期的に太陽光パネルの様子をチェックすることです。とくに鳥の糞は乾燥すると雨では落ちない場合があるので、そのままにしておかず拭き取りましょう。
太陽光パネルの故障や不具合の対処に
信頼のおけるO&M業者を選びましょう
野外に設置する太陽光発電では、太陽光パネルに故障や不具合が起こる可能性があります。オーナーは設備の故障や不具合を未然に防ぐことと、故障や不具合を発見したら早急な処置を行うことが責務です。
改正された再生可能エネルギー特別措置法(改正FIT法)では、オーナーに対して安定的な発電が可能な状態を保つ義務が課せられています。設備の定期的な点検とメンテナンスはO&M業者に依頼することになります。点検やメンテナンスを的確に実施してくれるO&M業者を選ぶことはもちろんのこと、万が一設備に故障や不具合があった場合に補償制度を設けている業者を選ぶようにしましょう。
更新日:2017.12.06太陽光発電O&Mの基礎知識