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太陽光発電O&Mとは?

太陽光発電設備のトラブルによる被害を最小限に抑える遠隔監視システム

太陽光発電の監視システム

太陽光発電による売電は固定価格買取制度により安定した収益が確保できます。しかし、何らかの原因で設備トラブルが起こると発電量は減少し、期待した収益を得られません。設備トラブルを早期に発見し、迅速に対処できれば損失も少なく済みます。

ここでは設備トラブルの内容や損失額、トラブルの早期発見に有効な遠隔監視システムについて説明します。

太陽光発電設備ではどんなトラブルが起きているか?

太陽光発電設備はいくつかの装置や機材を組み合わせて構成されています。発電量の低下や故障などのトラブルは各装置が何らかの異常をきたすことで起こります。

資源エネルギー庁の調べによると、パワーコンディショナー等の停止による発電停止が約15%の設備で起こっています。(※1)パワーコンディショナーは太陽光パネルで発電した直流の電気を交流に変換する装置で、熱に弱いことで知られています。装置内の換気フィルターで排熱していますが、そのフィルターが目詰まりし熱を下げられなくなると故障してしまいます。

また、屋外に設置している場合には、雨水などに濡れたり、長期使用による経年劣化での故障があります。次に多いのが初期不良や動物による事故でモジュールの発電量が低下するトラブルです。設備の約9%で発生しています。(※1)動物による被害の例としてはイノシシによる被害です。設備内に侵入して地面に穴を掘ってしまい、パワーコンディショナーが傾いたり、防草のために地面に敷いているシートを破られたりといった被害が出ています。(※2)

続いて多いトラブルは、設計・施工不良、落雷、機器・部材の初期不良による焼損で4%の設備で起こっています。(※1)何らかの原因でモジュール内が高温となり火災につながる可能性があります。その他、約3%の設備でパネル飛散や架台の損壊が確認されています。パネルの飛散は突風や竜巻、台風などによりパネルと架台を固定しているナットが緩むことで起こります。

ここで挙げたようなトラブルに対して太陽光発電のオーナーは、未然防止と早期発見に努める必要があります。

※1.【経済産業省】FIT制度見直しの検討状況の報告
※2.【日経テクノロジーonline】メガソーラー・トラブルシューティング

発電量減少でいくらの損失になるか?

再生可能エネルギー特別措置法(FIT法)の施行により、2012年7月から再生可能エネルギーによる発電電気の固定価格買取制度が始まりました。国が電気の価格を保証するということで、全国各地に再生エネルギーによる発電設備が作られました。その中でも太陽光発電は普及が最も進んだ発電設備です。

太陽光発電は太陽光をパネルに取り込むことで発電するシステムです。パネルで発電した電気はパワーコンディショナーで交流に返還され、キュービクルという装置で高圧にして売電されていきます。発電から売電までの過程のどこかでトラブルが発生すれば、売電できる電気量は減ってしまいます。固定価格買取制度で価格が安定しているからといっても、電気量が減ってしまえば収入は減ってしまいます。

ここで1つのシミュレーションとして発電量が20%低下し、それに気づいたのが3ヵ月後とした場合の年間損失額を見てみましょう。損失額はシステムの容量によって変わってきます。1kWh当たりの売電価格を21円とすると、システム容量が1000kWでは105万円、500kWでは52.5万円、50kWでは5.25万円の損失額です。この損失額は発電量の減少に気づくのが遅くなればなるほど大きくなります。損失額を抑えるには早期発見が欠かせません。

遠隔監視とはどんなシステムか?

太陽光発電設備のトラブルによる発電量の低下は大きな損失につながるため早期発見が大切です。しかし発電量の低下がわずかな場合、気づかず発見が遅れる可能性が高いでしょう。そこで発電量低下を発見する方法として遠隔監視による方法が挙げられます。

遠隔監視では総発電量とパワーコンディショナー、ストリング、モジュール単位での発電量を計測します。遠隔監視システムによる業務の流れを順を追って説明します。まず発電量の異常を計測機器が感知すると、遠隔監視センターで警報が鳴ります。監視システムで運転状況や異常の発生個所を確認し、発電業者や保安管理担当者にその情報が送信されます。さらにメンテナンス事業者にも現地への駆けつけや不具合の対応のため、連絡がいくという流れになります。データ通信は3GやLTEなどの公共無線通信を使用します。警報を知らせるアラートメールは、発電停止や発電量低下、パワーコンディショナー異常、ストリング・モジュール異常によって送信されます。

遠隔監視システムは単独発電所でも複数発電所でも導入可能です。遠隔監視システムの導入により、設備トラブルを原因とする発電量低下を早期に察知することができます。例えば昨年と比べて同月発電量が10%少ない売電明細書が届いたとします。考えられる要因としては3つ存在します。1つ目は日射量が昨年より10%少なかった場合、2つ目は日射量は同じでも設備故障により10%のロスが発生した場合、3つ目は検針日の3日前に設備が停止していた場合です。

発電量の減少が2つ目の要因で起きたとすると、故障に気づかず発電量ロスが長期間続いてしまいます。3つ目の要因なら、発電量がゼロとなった売電明細書を見て初めて停止していたことに気づきます。この2つのケースは遠隔監視システムを導入することで未然に防ぐことができるのです。

遠隔監視装置の設置で損失を抑えることができる

太陽光発電設備のトラブルをいち早く見つけられれば、売電収入の減少をできるだけ抑えることができます。トラブルの早期発見には遠隔監視システムの導入が有効で、24時間設備の状況を監視でき素早い対応が可能となります。

早期対応ができれば被害を最小限に抑えられ、メンテナンス費用の削減にも貢献します。改正FIT法によりオーナーは、発電設備の定期的な点検とメンテナンスが義務付けられました。点検やメンテナンスはO&M業者に依頼することになりますが、業者を選ぶ際にはしっかりした監視設備を有する業者を選ぶようにしましょう。

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更新日:2017.12.21太陽光発電O&Mの基礎知識 

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