太陽光発電のメンテナンス費用は?相場はいくらくらい?
2017年4月から施行された改正FIT法で、太陽光発電システムのメンテナンスの重要性が以前よりも高まりました。発電システムを持っている人は、メンテナンスの費用や相場が気になることでしょう。ここでは、太陽光発電でメンテナンスが必要な理由や、相場について解説します。
なぜ太陽光発電システムのメンテナンスが必要なのか?
太陽光発電のシステムでメンテナンスが必要な理由は2つあります。1つは故障を防ぐため、もう1つは発電効率を上げるためです。(※1)
1つ目の故障については、もっとも壊れやすい機材はパワーコンディショナーとされます。この機材の換気用フィルターが目詰まりし、換気ができなくなるのです。そして内部の温度が上がり、パワーコンディショナーの性能が落ちていきます。(※2)目詰まりの原因は、小さな埃やゴミによるものです。小まめに清掃をしていれば、このようなトラブルは防ぐことができます。
2つ目の発電効率については、汚れたソーラーパネルを洗浄することで、より効率的な発電が可能となります。これは、川崎市の実証実験でも確認されたことです。実験では、パネルの洗浄によって発電効率が最大7.59%改善されました。(※3)
単純にいえば、毎年の売電収入が100万円だったら、年間7万5,900円利益が増えるということです。
このように、故障を防ぐためにも効率的な発電で売電収入を増やすためにも、太陽光発電システムのメンテナンスが必要なのです。
※1.【楽エネ】太陽光発電のメンテナンスの必要性と定期点検の方法、費用の相場
太陽光発電のメンテナンス費用の相場はいくらくらい?
太陽光発電システムのメンテナンス費用の相場は、4年ごとに約2万円が目安です。当然、システムの規模や設置場所、利用する業者や受けるサービスなど、あらゆる条件で異なります。上記の相場は、資源エネルギー庁が2015年1月の資料で発表したものです。全国のパネルメーカーや太陽光発電協会、ユーザーへのヒアリングによって算出されています。その結果、点検の頻度は平均で4年に1回以上となりました。その点検時の平均費用が約2万円だったため、「4年で2万円」となるわけです。単純計算で「1年に5,000円」となります。ただ、これは定期点検の費用のみです。故障が起きれば随時追加の費用が発生します。また、発電システムの主要機材であるパワーコンディショナーは、平均耐用年数が20年です。交換費用は約20万円なので、20年に1回20万円が必要となります。
エネルギー庁はこれらの費用をすべてまとめて、年間維持費用の目安も出しています。「1kWあたり約3,600円」という金額です。たとえば、毎年100kW発電している人なら、年間の維持費は約36万円となります。(※4)
太陽光発電は自力では完全なメンテナンスはできない
発電システムのメンテナンスは、簡単な作業なら自分でもできます。たとえば、パワーコンディショナーのフィルターに詰まったゴミを取るなどの作業です。パネルの場所まで小まめに通うことができれば、このような軽作業は自分でしたほうがいいでしょう。しかし、本格的なメンテナンスはプロに依頼するべきといえます。理由は、一般人では発電システムの問題が見えないからです。問題を発見するための検査法は多数ありますが、その一つがEL法です。(※5)
EL法は「ソーラーパネルのレントゲン検査」のようなものです。「発電している部分」「発電していない部分」を色で区別できます。発電できていない部分は黒く染まるのです。ソーラーパネルは多数の「セル」を組み合わせて作っています。方眼紙のマス目のように、小さなパネルが多数集まっているのです。(※6)
その小さなセルがいくつか故障したとしても全体では発電ができているので、なかなか気づきません。早く気づくためには、EL法などのプロの検査が欠かせないのです。そして、見つかった問題に対しては、修理などの対応を早期にしてもらうほうが長期的な利益につながるでしょう。
太陽光発電は資格を持つプロにメンテナンスを任せよう
どんな設備でも、点検や修理は資格を持ったプロにまかせるべきです。それは、太陽光発電のシステムでも同様です。太陽光発電メンテナンス技士資格などの資格を持つプロであれば、検査でも修理でも信用できます。(※7)
各業者のホームページを見て、高度な技術を持ったスタッフが多く在籍する業者を探しましょう。費用も含め、不明な点があれば電話などで問い合わせ、その対応の良し悪しも判断基準にしてみてください。あらゆる方法で業者を絞り込んだうえで、もっとも信頼できる業者にメンテナンスを依頼するのがポイントといえます。
更新日:2018.01.16太陽光発電O&Mの基礎知識